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生き延びた体のあざ [サバイバル]

会社で給料をもらうようになった。

貯金するようにした。

割と自分にしては築かないうちにたまっていった。

仕事を転職することになった。

「さて、通勤はどうしよう」と考えた。

街に出てみた。かつてのあこがれを振り返ってみた。憧れを実践するためのデザインを考えた。

「黒い車」私のビジョンになった。夜景の映り込みがきれいである。

早速車販売の知り合いを呼んで自分の資金と釣り合う車を探すことになった。

あまり迷わず「ワンダーシビック・サンルーフ付き」に決まった。

あと条件として、オーディオはパイオニアのガセットオーディオは譲れなかった。

かつて友達と瀬戸大橋開通の見学ランデブーにスズキのジムニーに3人乗って(私は後部座席で小さくなっていた)行ったときオーディオはそのものであり、あまりにもタイミングよく好きな曲が流れてきたので「これいいな~」と常々思っていた。


新車が納入された。やはり黒は美しかった。

通勤に使った。3年間使った。その間いろいろなところにドライブに出かけた。

仕事場が3年たったところで異動が決まった。まったく新しいところでである。

水防訓練の出席を命じられた。

会場を探しに来るまで休日に出かけた。かなり迷ってしまった。街並みが3年間の間に変わってしまっていたので方向の感覚がうまく働かなかった(その当時ナビゲーションシステムというものはまだ登場していなかった)。

会場探しをあきらめて家路につくことにした。そのあと思いもよらぬアクシデントに見舞われるとは...

十字路直線走行、右から軽四近づいていた。停止線が見えていた。

「一旦停止するだろう」がいけなかった。

計四は止まらなかった。私もブレーキをかけなかった。

衝突。

私は車にめり込んだ電柱と、計四のフロント部分に挟まれる格好で強い衝撃を受けた。私の車は田んぼに落ちた。


しばらくは何が起こったのかわからないくらいで、気を取り戻した時には「大変なことをしてしまった」と心臓の鼓動が以上に早くなった。

周りは民家で、事故に気付いた人が110番してくれた。

警察到着。まず状況報告と確認。それが終わってから「田んぼにガソリンが漏れている可能性があるので所有者に謝っておくように」と告げて警察は引き上げた。

半ばパニック状態で回りの民家を訪ねていく。「田んぼの持ち主ではありませんか」声は上ずっていた。

4,5軒回ったところで持ち主を見つけた。丁寧に謝った。

レッカー車が到着し、車は修理工場へ運ばれることになった。車販売の知り合いも駆けつけてくれ自宅まで送ってくれた。

事故処理は終わった。


家についてから両親に事情を伝えた。


泥まみれ、油まみれになった衣服を着替えたとき、上半身に十字の大きなあざができていた。

衝突の衝撃でシートベルトのあざができていたことを自宅に帰って服を抜いてから気が付いた。


もしシートベルトをしていなかったら、自分の体は車にめり込んだ電柱に強く打ち付けられあの世へ行っていた。


数日後修理工場に運ばれた車を見に行くことになった。

「シャーシがひずんでいるので修理することができません」とのことで車は廃車になった。

この時から自分の車の運転が変わった。

「安全運転、安全運転」


体にできていたあざは気が付かない間に消えていた。










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