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アルファロメオアルミシリコンエンジン [車]

昔々。ちょっと昔。

大学の卒業研究(略して卒研)で材料学を研究テーマにした。

テーマは「過共晶アルミシリコン合金の微細化に関する研究」である。

つまり、アルミの中にあるシリコンの分布を均一に細かくするにはどういった条件を与えればよいか?

(これでも??かもしれない)

まず準備

パラメーターを作成する。

1.鋳造温度:800度・900度・1000度
2.添加物:リン・セレン・マグネシウム
3. 冷却時間:1時間・2時間・3時間

これらの条件を組み合わせて、適正鋳造温度・適性添加物・適性冷却速度を探り当てる。

アルミシリコン合金自体は延べ棒状のものでそれをるつぼに入る大きさに切っていく。

るつぼを電気炉に入れて合金を溶かす。時間がかかる。徹夜で作業をする。

出来上がった鋳物はカットして断面をバフ研磨して磨き上げる。

鏡のようになったらフィルムカメラ付きの顕微鏡で表面の様子をモノクロ写真で記録していく。

ここでモノクロフィルムの現像焼き付けは暗室で自分でこなす。

真っ暗な暗室でバトローネを開けリールにフィルムを手探りで巻いていく。

現像用機に収めてふたをしたら、初めて赤色のランプを付け周りの様子を見ることができる。

現像液を注ぎ一定時間放置する。

ネガが出来上がる。

今度はネガを引き延ばし器にかけ印画紙に焼き付ける。

またまた現像液に印画紙を浸し、そよそよ揺らせながらしばらくすると像が浮かび上がる。

アナログの写真ではこれだけ手間がかかるが、もし当時デジカメがあったなら瞬時に画像が出来上がったに違いない。


時代が時代なだけに。

焼きあがった母児は、画像解析に掛ける。

programは先生のお手製でアッセンブラという言語で書かれている。ワイヤードットのプリンターでプログラムを印刷すると高速モードで見1時間弱、ページにして300ページ弱に及ぶ。

ポジ写真をCCDカメラで読み取りシリコンの分布を数字化していく。

結果はリンを添加した時が一番シリコンの分布が均一で微細化されているのをおぼえている(30数年前の話)。

先生曰く「このアルミシリコン合金はアルファロメオのエンジンに使われているのだよ」ということだった。

アルファロメオのエンジニアも同じような実験をしたのだろうか。[右斜め上]






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